主要ポイント
- 記録的成長: ヒューマノイドロボットの世界出荷台数は2026年上半期に19,100台に達し、前年同期比272%増加した。
- 中国勢の支配: AGIBOTがUnitreeを上回り世界首位の製造企業となった。シェアはそれぞれ44%と31%で、両社合計で市場の75%を占める。
- コストの急落: 製造コスト(BOM)は50万人民元から14万〜20万人民元まで下落し、Unitreeはモデル「R1」を5,900ドルで販売している。
加速する出荷ペース
ヒューマノイドロボットの世界出荷台数は2026年上半期に約19,100台に達した。2025年同期の5,100台から大きく伸びている。現在のペースが続けば、年間出荷台数は60,000台に達し、推定売上高は16億ドルに達する見通しだ。2025年にはIDCによると前年比508%という飛躍的な伸びを記録し、出荷台数は18,000台、売上高は4億4000万ドルだった。同調査会社は、2030年までに年間出荷台数が510,000台を超え、年平均成長率は約95%に達すると予測している。

AGIBOTがUnitreeを逆転、需要は中国に集中
2026年上半期の世界出荷台数のうち、97%以上が中国メーカーによるものだった。中国国内だけで世界需要の85%以上を吸収している。メーカー別ランキングでは、AGIBOTがUnitreeを逆転し、8,400台の出荷で世界首位となった。市場シェアは44%で、Unitreeの5,900台・31%を上回った。両社合計で世界市場の75%を占めている。
製造コストの急落
中国製ヒューマノイドロボットのBOMコストは、初期の50万人民元から14万〜20万人民元の範囲まで下落した。これはコア部品の現地化率が90%を超えたことによる。Unitreeはモデル「G1」を13,500ドル、モデル「R1」を5,900ドルで販売している。この価格帯は2024年時点では、少なくとも5年先まで到達不可能と見られていた水準だ。Unitreeの研究用モデル「H1」は約90,000ドルで、対する海外の競合機「Agility Digit」は100,000ドルを超える。
工場と倉庫、家庭ではない
2026年上半期の出荷のうち70%以上が、製造業、物流、倉庫、検査といった産業・商業用途向けだった。1年前の水準は50%だった。Figure AIのロボットはBMWのスパータンバーグ工場で交代制勤務を行っている。Agility DigitはAmazonのフルフィルメントセンターで稼働中だ。Apptronik Apolloはメルセデス・ベンツに導入されている。一方、Teslaの「Optimus」については、イーロン・マスク自身が「主に学習用であり、生産作業のためではない」と認めている。

公表数値と実際の生産量の隔たり
Teslaは「Optimus」の公式な生産数値を一度も発表しておらず、「Figure AI」も検証済みの台数は数百台にとどまる。Unitreeのモデル「G1」は2026年半ばまでに累計生産台数が11,000台を超えた。AGIBOTは、フルサイズの二足歩行型から車輪型のバリエーションまで幅広いラインナップを持ち、英国とドイツで既に実運用を開始している。
基盤モデルと技術的限界
2025年に発表されたNVIDIA Isaac GR00Tプラットフォームは、プログラミングの手法を変えつつある。もはや一つ一つの動作をコード化する必要はなく、自然言語による指示をAIが行動に変換する仕組みだ。Vision-Language-Actionモデルやワールドモデルは急速に進化しているものの、比較的初期の段階にある。信頼性、操作の精度、安全性が主要な技術的障壁として残っている。一方、米国による外国製ロボットへの制限措置が、中国ベンダーの海外展開を制約する可能性もある。

2035年に向けた予測
Omdiaによると、市場は2035年までに年間260万台に達する可能性がある。一方Interact Analysisは、売上高が最大150億ドルに達すると予測している。中国はその時点でも実需の65%以上を維持するとされ、政府投資、補助金、国有企業の調達がそれを支えている。2026年は、ヒューマノイドロボットが試作品から量産される産業機械へと移行する節目となり、そのコストは2年前には到達不可能と考えられていた水準にまで下がっている。
